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2026/03/26
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【歴らぼ】 伊能忠敬をテーマにした公開イベントを3/14に開催しました

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甲南大学文学部歴史文化学科は、2014年から学生と教員が共に活動し、歴史文化に関わる事象を実践的に学ぶ場として自主ゼミ活動「歴史文化らぼ(歴らぼ)」を実施しています。複数の班が活動に取り組む中、2025年度は地図班に所属する学生たちが、江戸時代後期に精巧な日本地図を制作したことで知られる測量家、伊能忠敬の業績をテーマにした公開イベントを、甲南大学父母の会の支援を受けて企画しました。学科の学びをより深めるだけでなく、計画力、発見力、行動力といった社会に出てから役立つ能力の育みにもつながっている「歴らぼ」の取り組みを紹介します。

 

 

 

 

 

◆自らが関心を持った歴史文化への学びを深める◆
歴史文化学科は甲南大学文学部にある5学科のうちのひとつで、2001年に創設されました。学科では時間(縦軸)と地域・文化(横軸)を交差させながら、人々の歴史や文化と共に、今に生きる姿を学ぶことを目標にしています。そのために、歴史学(日本史・西洋史・東洋史)・地理学・民俗学の3つの専門領域を融合したカリキュラムを設けています。2年次以降の専門的なゼミ教育を少人数で行っていることも大きな特徴です。

 

2014年からスタートし、近年活発になっているのが、学生が専門知識を持った教員と学科のサポートを受けて運営する自主ゼミ「歴らぼ」です。学生たちは毎年、自らが関心を持つテーマに基づいて地図、言語、遺跡巡り、中世、古文書、読書など様々な班を結成して活動に取り組んでいます。

 

今回の伊能忠敬の業績をテーマにした公開イベント「江戸時代の地図を歩く~伊能図から見る歴史と地域のつながり~」の企画、運営には、3回生の藤本茉由さんを代表に、3回生の脇坂柊吾さん、前田早紀さん、小林奈波さん、堀田心温さん、坂本朋磯さん、下中来夏さん、持永春香さん、1回生の中田朝陽さんが参加。歴らぼ地図班を指導する鳴海邦匡教授(歴史地理学)がサポートにあたりました。

 

今回の公開イベントは、2月中旬から4月にかけて岡本キャンパス10号館の展示スペース「知のギャラリー」の床面に「伊能図」の複製を装飾した上で、伊能忠敬の業績を紹介するパネル展のほか、伊能忠敬の研究に最前線で取り組む専門家による講演会と測量などを実体験するワークショップ(3月14日開催)で構成しています。学生の成長につながる取り組みを資金面で支援する甲南大学父母の会GP(グッドプラクティス)制度に申請し、採択を受けることで実現しました。

 

 

 

 

 

◆10号館の床面を「伊能図」で装飾◆
注目ポイントのひとつが、10号館1階の展示スペース「知のギャラリー」の床面を飾った約3倍に拡大した徳島大学所蔵の「大日本沿海図稿 五畿東海 壹」(重文指定)の複製です。4枚のシートで構成し、大きさは縦約3.6メートル、横約4.8メートル。壁面に展示した5枚のパネルでは、伊能忠敬の経歴、江戸時代の測量の方法、日記から読み解く神戸の周辺地域で行われた測量の記録、阪神地区が描かれている伊能図について紹介しました。また、伊能図のうち甲南大学がある阪神地区が描かれているものを調べ、大図4点、中図25点、小図8点、下図4点が存在していることを確認し、一覧表にまとめました。

 

 

 

 

 

 

◆伊能忠敬の業績をテーマに講演会とワークショップを開催
3月14日には、伊能忠敬の研究に取り組む元神戸市立博物館学芸員の小野田一幸さん、佛教大学歴史学部の塚本章宏教授による講演会とワークショップを1号館で開催。公募を通じて申込みいただいたお年寄りから小学生まで約50人の方々に参加いただきました。小野田さんは、伊能図の全体像と神戸市のつながり、塚本教授は高精細のデジタル画像を活用した新しい伊能図分析の可能性をテーマにそれぞれ講演しました。講演会の後は屋外で、伊能忠敬と同じ歩幅による距離測定やコンパスを使った方位測定を参加者に体験していただきました。

 

 

 

 

 

 

◆イベントの企画、運営を通じて社会で役立つ能力を育む
今回のイベントに携わったメンバーは、鳴海教授の指導を受けながら半年以上かけて準備に取り組みました。企画書の作成、GP制度への申請と審査の際のプレゼンテーション、イベントを開催する上で必要な伊能図の複製シートやパネルの発注、講演を行った専門家への依頼、伊能図の所蔵先への複製の利用許可申請、パネルに記載する文章やイラストの作成、イベントの広報、会場設営といった一連の業務を自分たちの力で完遂しました。

 

 

 

 

学生たちにとって授業での学びの深掘りや社会で役立つ能力の育みにつながった今回のイベント。一連の取り組みは歴史文化学科が運営する「歴らぼのWEBサイト」を通じて情報発信しています。これからの活動に是非ご注目ください。

 

 

 

鳴海邦匡教授の話
地図班ではこれまでイベントの企画以外に、ウォーキングマップの作成や資料の整理などに取り組んできました。歴史文化の学びが社会とつながる側面を学生たちに実感してもらうことを意識して活動をサポートしています。卒業生の中には、歴らぼでの活動が、勤め先での企画書作成やプレゼンテーションといった業務をこなす際に大いに役立っていると話してくれる人が大勢います。歴らぼの活動を通じて歴史地理学についてさらに極めたいと考えるようになり、大学院に進学した人もいます。伊能図の正確さの背景に迫った今回の公開イベントは、大学での学びの成果を社会に還元する喜びを学生が実感する素晴らしい機会になりました。歴らぼの活動を将来の進路や目標を見つけることに役立ててもらえたらうれしいですね。

 

 

 

 

 

歴らぼ 地図班 藤本茉由さんの話
1回生の時に、地図に関する貴重な資料を展示している福岡県北九州市のゼンリンミュージアムを訪れた際に、館内の床面に原寸大の伊能図が装飾されているのを見て大きな感銘を受けたことが、伊能忠敬に関心を持つきっかけになり、今回の公開イベントの発案につながりました。多くの人に伊能図の世界を楽しんでいただきたいと考えながら企画しました。公開イベントの準備を進める中で多くの本や論文を読むことを通じて、授業での学びをより一層深めることができました。時間を捻出しながらのイベントの準備は簡単ではありませんでしたが、伝わる文章の書き方、資料の調べ方、展示構成やワークショップの組み立て方、情報発信の仕方、会場設営のノウハウなど様々なことを学ぶことができました。企画の実現を支援してくださった甲南大学父母の会の皆様には本当に感謝しています。2025年6月下旬にGP制度に採択していただいてから仲間とともにイベントの準備に取り組んだ経験は、これから進路を選択して社会で働いていく上での大きな財産になると思います。

 

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