
このたび、先端生命工学研究所(FIBER)杉本所長ほかの研究グループは、物質・デバイス領域共同研究拠点の一つである、東北大学多元物質科学研究所との共同研究に採択されました。
物質・デバイス領域共同研究拠点とは、平成21年度文部科学省より認定を受けた、物質・デバイス研究を促進する公募型共同研究体制の構築を目的とするプロジェクトです。拠点となる5研究所(北海道大学、東北大学、東京工業大学、大阪大学、九州大学の研究所)で共同研究を公募し、研究推進をはかる事業です。
物質・デバイス領域共同研究拠点(ネットワーク型共同利用・共同研究拠点)
http://www.sanken.osaka-u.ac.jp/joint_research/outline/index.html
本研究所が採択された研究課題は、「修飾核酸塩基を用いた新規核酸構造制御法の開発」であり、東北大学 多元物質科学研究所 永次 史教授との共同研究であります。
細胞内での核酸は分子環境に応じて、標準構造である二重らせんではなく、三重らせん、四重らせん構造などの非標準構造を形成します。近年、核酸が構造変化を介して、転写・翻訳などの生体反応の制御していることが明らかになり、外部因子によって核酸構造を制御する手法の開発が待望されています。
本共同研究では、核酸の非標準構造を標的とし、新規の修飾DNAを用いて核酸構造の制御する技術を構築し、この制御技術を細胞内在性の疾患関連核酸構造に適用し、非標準構造形成の制御を介して遺伝子発現を制御することを試みます。
このような技術は、細胞内で遺伝子発現機構を制御する機能性核酸の構築を可能とし、医工学的に応用範囲の広い技術になると期待されます。
先端生命工学研究所(FIBER)では、生命化学分野における共同研究開発を通じて、科学技術の振興と発展に寄与してまいります。