このたび、先端生命工学研究所(FIBER)の大倉裕道博士研究員が「ISNAC2015 第42回国際核酸化学シンポジウム」で「ISNAC Outstanding Poster Award in 2015」を受賞しました。
本受賞は、2015年9月23日(水)〜9月25日(金)に開催されました「ISNAC2015 第42回国際核酸化学シンポジウム」(イーグレひめじ)において、ポスドク研究者および博士課程在籍の学生で審査を希望するポスター発表者を対象に選考が行われたものです。
審査委員からは、①研究内容、②ポスター発表の内容、③質疑応答を審査して決定されるものであります。本年度は、ポスター105件の中から、大倉博士研究員含めた3名の研究者に授与されました。受賞内容は、下記のとおりです。
記
受 賞:ISNAC Outstanding Poster Award in 2015
受 賞 者 :大倉 裕道(甲南大学 先端生命工学研究所 博士研究員)
ポスター発表名:Molecular Crowding Effects on Polymerase Selectivity and Fidelity of Nucleotide Polymerases in the Evolution of Life
ポスター発表概要:
杉本直己所長、髙橋俊太郎講師との共著にて、遺伝情報を複製する際に必須となるポリメラーゼ活性に対する分子クラウディングの効果を解析しました。その結果、分子クラウディング環境下でT7RNAポリメラーゼがRNAポリメラーゼではなくDNAポリメラーゼとして働くことを見出しました。分子クラウディング環境は生命が進化の過程で獲得してきた分子環境であり、その生命進化の過程で遺伝情報はRNAからDNAへと移行してきたと考えられています。このことから本研究により得られた知見は、分子クラウディング環境による酵素機能の制御への展開のみならず、進化においてDNAが遺伝情報を保存するに至るトリガーが分子クラウディングである可能性を初めて示唆しました。
研究発表にあっては、FIBER所長の研究総括の基で、戦略的研究に関わる教員、研究開発スタッフ等の協力により、成し遂げることができました。
FIBERでは、生命化学分野における研究開発を通じて、科学技術の振興と社会経済の発展に寄与してまいります。