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2016/06/17
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【自然科学研究科/統合ニューロバイオロジー研究所】精子が頭部の感覚神経の活動に影響を与えることを久原准教授らが発見

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甲南大学大学院自然科学研究科/統合ニューロバイオロジー研究所の久原篤准教授、太田茜研究員、大学院生の園田悟さんらは、精子が頭部の感覚神経に影響を与え、体の温度適応を調節していることを、線虫を用いた研究から発見しました。

 
温度に対する適切な応答は、生命が生存していくために非常に重要な生体メカニズムです。そのため、温度適応メカニズムの解明は、温度が関わる疾患の原因解明だけでなく、地球温暖化による生命の存続など多くの分野において望まれております。
 
本研究チームは、シンプルなモデル動物である線虫C.エレガンスを利用して、温度適応の解析を行いました。これまでに、温度は頭部の感覚神経で受容され、インスリンを介して腸が温度適応を調節することが見つかっていました。今回の研究で、腸の下流で精子が温度適応に関与し、「精子が頭部の温度を受容するニューロンの神経活動に影響を与えている」という、フィードバック機構が明らかとなりました。生殖と温度適応に関わるメカニズムはそれぞれ、生物の基本的な機能として高度に保存されているため、今回見つかった現象は、ヒトを含む多くの生物に共通する生命現象の理解に繋がると考えられます。
 
本研究の成果は、2016年6月16日正午(米国時間)に、米科学雑誌「セルリポーツ」のオンライン速報版で公開されました。
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