図書館・センター・機構

図書館・センター・機構

理工学部の取り組み

「入学から卒業まで、学力、スキルアップのための一貫した教育と実践力を養う充実したサポート体制」

理工学部(物理学科、生物学科、機能分子化学科、地学教室)では、入口(入学)から出口(卒業、就職、進学)まで、それぞれの学科に対応した一貫した教育システムをとり、学生の能力(学力、スキルなど)アップに組織的に取り組んでいる。ここではFDへの特色ある取り組みについて各学科の例を紹介する。
物理学科:
1)入学前授業:推薦入学者を対象に、高校の物理、数学の授業を入学前に集中的に行う。理解が不十分な領域、苦手な領域を克服するための授業。
2)基礎物理学I、II:高校の物理と大学の物理学の接続を円滑にするために、高校物理の基礎から始めて、大学物理学の入門程度までを、わかりやすく丁寧に説明する事を心がけた基礎の基礎を目指した科目。
3)ワークショップ:物理と数学の必修科目を対象とした学生参加型の演習。学習到達進度の合わせた少人数グループに1教員を配属し、マンツーマンに近い形で教育する。テキストは、甲南大学物理学科で独自に作成した演習問題を用いている。
4)入学から卒業までの一貫した実験科目:「実験を通して物理を修得する」を理念とし、実際に手と体を動かして、物理の基本概念および実験スキルを習得する。「基礎物理実験」→「ラボラトリーフィジックスI、II」→「物理学実験I、II」→「卒業研究」の順で、より高度で実践的な実験を行い、プレゼンテーション技術も身につける。
5)学修相談室:講義、実験など学生の学修をサポートする相談室。講義で理解しづらかった箇所、演習でわからない問題など、様々な学修に関する学生のニーズに対応する。
生物学科:
1)大学初年次からの先端的な内容のリレー形式の講義:
生物学科では、分子生物学および細胞生物学の基礎を系統的に学ぶ「基礎生物学I・II」、「基礎生物学演習I・II」という科目がある。これらの科目では、この分野で世界的に定評のある教科書「細胞の分子生物学(Molecular Biology of The Cell)第5版」の内容に沿って、複数の教員がリレー形式で講義を進めている。この教科書は、未解決の問題や現在も研究が進行中の内容も扱っており、まさに生物学の最先端に触れることができるため、大学院の講義などでも使われている良書である。「基礎生物学I・II」は1年次の前期・後期、「基礎生物学演習I・II」は2年次の前期・後期配当の科目で、生物学科の学生は、2年間を通してこの教科書をじゅうぶん読み込み、現代生物学を細胞レベル、遺伝子のレベルで理解する基礎力と思考力を養う。
2)高度な内容を理解するための学習計画の設定と計画達成へのサポート:
「細胞の分子生物学(Molecular Biology of The Cell)第5版」の教科書は、大学1〜2年次には難しい内容を含んでいるため、じゅうぶんな予習と復習が不可欠となる。そこで、毎回の講義の最初に、予習確認テストを行って学習のペースを作るようにしている。また、講義の最後に配る質問メモやオフィスアワーなどで、理解が難しかった部分について気軽に相談、解決できるようにしている。
機能分子化学科:
1)入学前授業:推薦入学者、AO入学者を対象に、高校の化学、数学の授業を入学前に集中的に行う。基礎科目の理解度確認と、大学教育へのスムーズな導入を図るための授業。 化学では、化学反応の量的関係、反応速度、酸・塩基、酸化・還元など、数学では、逆関数、三角関数、指数・対数の微分、置換積分法、部分積分法など。
2)卒業研究における中間発表会:研究室単位で、1ヶ月から1ヶ月半に一度中間報告会を開催している。実験データの整理、教員とのディスカッションを通して、読解力、論理性、さらにプレンテーション能力の向上を図っている。また、他研究室の発表にも自由に参加でき、他研究室の研究内容を聞き、そのディスカッションにも参加することで、幅広い化学の素養を身につける。
3)学習相談室:機能分子化学科の基礎的科目(基礎化学A〜F、化学のための物理及び演習、化学数学演習、微分積分、線形代数など)について、講義時間内では充分に理解できない学生が、気軽に相談できる環境を設ける形として学習相談室を設けている。
地学教室:
理工学部の各学科には中学校・高等学校の理科の教員免許を取得できる教職課程がある。他の多くの教育学部・理系学部にも同様の教職課程があるが、本学の特徴は中学・高等学校で用いられる標準的な教育用の実験・観察機器をおそらく日本でも最も幅広く整備しつつあることである。そもそも中・高の実験・観察機器は、理系学部が研究用に所有する機器とは異なり、教育用に開発された独自の種類のものが多数有り、また同様な研究用機器があっても教育に適した特別な仕様になっているものが多い。 このため、教育学部や理系学部を卒業して理科教員になっても、自身が高等学校で履修していない科目や、履修していても実験を行っていない場合には、それらを活用した実験・観察の指導力がないのはもちろん、高校生並みの実験・観察をする能力も身についていない。このことが、学習指導要領で観察・実験の重要性が強調されているにもかかわらず、教育現場での実施状況が芳しくないということにつながり深刻な問題となっている。しかし、本学の学生は、自由な時間にこれらを活用して観察・実験を納得できるまで何回も体験し、教科教育法の授業の模擬実験においても当該内容についての観察・実験を取り入れることが義務付けられている。これによって、観察・実験の指導に秀でた理科教員を育成して教育界に送り出すことが可能になりつつある。