
フロンティアサイエンス学部・非電離放射線生体環境総合研究所の臼井健二准教授、フロンティアサイエンス研究科修士課程の尾崎誠さんらによる研究成果が、英国王立化学会の学術誌「Nanoscale」(IF=7.76)の中裏表紙を飾りました。
今回の発表は、小型タンパク質(ペプチド)と核酸(DNA)を利用して、複数のバイオミネラリゼーション現象(無機物沈殿現象)※を制御しようというユニークな研究成果の一部です。
この沈殿現象の制御は難しいですが、今回は、人工のペプチドを使って、DNAのある特定の位置(nm(ナノメートル)レベル)に高確率に沈殿を起こさせるという試みと、続いてさらにもう1種類の別の無機物の沈殿も試みるという、挑戦的な研究を行い、成功いたしました。
本論文および中裏表紙の掲載は、その研究成果をまとめたものになります。
本研究を基礎として,無機物沈殿の位置特異的制御の基礎的概念・手法の確立を目指します。この技術を応用すれば、より高度な有機-無機ナノ構造体の創出が可能となり、歯や骨の治療といったバイオ分野から、ナノ材料やナノ電子回路の開発といったナノ分野まで幅広い研究への展開が期待できます。
※バイオミネラリゼーション現象(無機物沈殿現象)
生物が無機鉱物をつくる作用のこと。身近な例として、歯や骨のリン酸カルシウムの形成、貝殻などの炭酸カルシウムの形成、ケイソウのシリカの形成などが挙げられます。
最近では様々な金属を沈殿できるタンパク質やペプチドが見つかってきています。
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