
「先生、○×信託銀行の最終面接で落ちて、心が折れています」
と学生に言われ、「がんばれ!」とはげましているうちに、
ちょうど20年前の自分がよみがえってきた。
その日は、もうどうしようもなく「東京砂漠」に嫌気がさして、
無性に「湘南の月がみたい」と、夕刻に新宿発の湘南行きの電車に飛び乗った。
1時間も電車の中で立っているのに、どこも座る席が空かない。
「東京へ通勤する人は大変だな」と、大学から歩いて通える場所に下宿して、
安穏と大学生活を過ごしている私はふと思った。
駅に着いて、とぼとぼ湘南海岸にむいて10分程度歩いて行った。
その日は月がきれいな夜だった。
湘南海岸公園で、ぼっと座って、1時間ほど夜空を見ていた。
「東京では、月をみていなかったなあ」と思った。
また、明日から、いつものように頑張るしかないか、と思い返して、東京に戻った。
大学時代の屈辱は、決して無駄にはならない。就活でがんばっている皆さんへ。
文責:森 剛志(経済学部教授)