日本語教員養成課程

写真1  甲南大学で1990年度から設けられている日本語教員養成課程は、日本語を母語としない人に日本語を教える教員を養成する課程で、全学部の学生に開かれています。
 日本の漫画・アニメや音楽・映像といった作品への人気の高まりも影響して、 海外では日本の文化や社会に興味をもち日本語を学びたいという人が増えています。 また、外国人観光客に加え、留学や就労を目的とした定住外国人の数が増加しつつあり、 日本語を専門的に教えることのできる人材が求められています。
 甲南大学では、以下の5つの区分にしたがって、日本語教員に求められる各方面の能力を高め、定められた単位を修得した人に修了証を交付しています。
2024年4月から、日本国内の日本語学校など認定日本語教育機関で日本語を教えるには、「登録日本語教員」という国家資格が必要となります。この国家資格を取得する場合、国家試験である日本語教員試験(基礎試験と応用試験)に合格し、かつ実践研修を修了して、文部科学大臣の登録を受けなければなりません。本学の日本語教員養成課程を修了すると、日本語教員試験の基礎試験と実践研修が免除される予定です(2024年2月現在、申請中)。

2024年度入学生対象(修了必要単位数 28単位以上)

区分 授業科目 必修/選択必修/自由選択
社会・文化・地域 日本事情 1科目2単位必修
日本語史Ⅰ/日本語史Ⅱ
日本文学史Ⅰa/日本文学史Ⅰb
日本文学史Ⅱa/日本文学史Ⅱb
民俗学の諸問題/文化人類学/多文化共生論
英米文化探訪Ⅰ/英米文化探訪Ⅱ
英米文化研究Ⅰ/英米文化研究Ⅱ
左の中から2単位以上選択必修
言語と社会 社会言語学Ⅱ 1科目2単位必修
社会言語学Ⅰ
情報社会論/コミュニケーション研究
メディア研究/現代文化論
左の中から2単位以上選択必修
言語と心理 日本語教育概論Ⅰ/日本語教育概論Ⅱ 2科目4単位必修
日本語教育研究Ⅰ/日本語教育研究Ⅱ
発達心理学/発達臨床心理学
社会心理学/社会意識論
英語の獲得と理解
左の中から2単位以上選択必修
言語と教育 日本語教授法研究Ⅰ/日本語教授法研究Ⅱ
日本語教授法実習Ⅰ
3科目6単位必修
日本語教授法実習Ⅱ 1科目2単位自由選択
言語 言語学概論Ⅰ/日本語学概論Ⅰ/日本語文法論Ⅱ 3科目6単位必修
言語学概論Ⅱ/日本語学概論Ⅱ/日本語文法論Ⅰ
日本語音声学Ⅰ/日本語音声学Ⅱ
日本語語彙論Ⅰ/日本語語彙論Ⅱ
現代日本語研究Ⅰ/現代日本語研究Ⅱ
対照言語学Ⅰ/対照言語学Ⅱ
英語の文法/英語の音声/英語の意味/英語のレキシコン
左の中から2単位以上選択必修

2023年度以前の入学生対象(修了必要単位数 36単位以上)

区分 授業科目 必修/選択必修/自由選択
社会・文化・地域 日本事情 1科目2単位必修
日本語史Ⅰ/日本語史Ⅱ
日本文学史Ⅰa/日本文学史Ⅰb
日本文学史Ⅱa/日本文学史Ⅱb
日本文化史/民俗学の諸問題/文化人類学/多文化共生論
英米文化探訪Ⅰ/英米文化探訪Ⅱ
英米文化研究Ⅰ/英米文化研究Ⅱ
左の中から4単位以上選択必修
言語と社会 社会言語学Ⅰ/社会言語学Ⅱ
情報社会論/コミュニケーション研究
メディア研究/現代文化論
左の中から4単位以上選択必修
言語と心理 日本語教育研究Ⅰ/日本語教育研究Ⅱ
発達心理学/発達臨床心理学
社会心理学/社会意識論
英語のレキシコン/英語の獲得と理解
左の中から4単位以上選択必修
言語と教育 日本語教育概論Ⅰ/日本語教育概論Ⅱ
日本語教授法研究Ⅰ/日本語教授法研究Ⅱ
日本語教授法実習Ⅰ
5科目10単位必修
日本語教授法実習Ⅱ 1科目2単位自由選択
言語 日本語文法論Ⅰ/日本語文法論Ⅱ 2科目4単位必修
言語学概論Ⅰ/言語学概論Ⅱ
日本語学概論Ⅰ/日本語学概論Ⅱ
日本語音声学Ⅰ/日本語音声学Ⅱ
日本語語彙論Ⅰ/日本語語彙論Ⅱ
現代日本語研究Ⅰ/現代日本語研究Ⅱ
対照言語学Ⅰ/対照言語学Ⅱ
英語の文法/英語の音声/英語の意味
左の中から8単位以上選択必修

海外・国内での教育実習

 日本語教員養成課程の仕上げは実習です。甲南大学の日本語教員養成課程では、協定校である台湾の東海大学で、2002年より毎年日本語教育実習を行っています。夏休み期間の10日間ほど台湾に滞在し、台湾の学生と一緒にチームを作り、初学者と既習者の2つのクラスを編成して、日本語を使いながら社会・文化・生活などを比較分析する活動などを行います。
 実習生は海外で実習することにより、教える技術だけでなく、異文化理解への姿勢も養います。また、国内実習のクラスも用意されています。

写真2 写真3
東海大学のシンボル、教会の前で 校舎の中庭でのクラス活動

卒業生の進路

 これまで日本語教員養成課程を修了した卒業生の中には、青年海外協力隊員として海外(ヨルダン、内モンゴル等)に派遣された人や、海外の日本語学校(台湾のYMCA等)で教えている人、また国内の日本語学校で教えている人など数多く、日本語教員養成課程で培われた力を生かして活躍しています。