
高校の化学で習う「有機物」は炭素を含む化合物です。有機物の多くは電気を流しませんが、中には電気を流したり磁石の性質を示すものもあります。そんな有機物の性質を調べ、エレクトロニクス製品などに活用できる新たな有機半導体を作る研究を行っています。シリコンなどの無機半導体に比べて有機半導体は軟らかく、加工がしやすいのが大きなメリット。その特性を生かし、折り曲げられるスマホや有機ELテレビなどに利用されています。また、印刷で回路を形成できるので、安く簡単に、薄くて軽い電子素子が作れる可能性があります。物質科学の世界では、先行の研究になにか一つ変化を加えることで、大きな成果につながることがよくあります。自分のアイディアがもしかすると世界中の人に役立つ素材につながる面白さを、みなさんと追求していきたいと思っています。
化学研究の分野では、日々膨大な数の物質が生み出されています。本装置は対象となる物質に強磁場下でラジオ波を照射することで、水素や炭素などの原子核に関する微細な情報を読み取ります。これにより有機化合物を中心とする様々な物質について、構造や大きさ、平衡挙動や集合状態などの重要な知見が数多く得られます。
[写真はJNM-ECZL400S(日本電子株式会社製)]
単結晶試料にX線を照射し、その回折像から固体中での分子配列や精密な立体構造を解析する装置です。Cu線源とMo線源の両方を備えた2線源システムであり、様々な結晶試料の測定に対応できます。窒素吹付装置によって、測定温度も室温から-180℃まで制御できます。
[写真はXtaLAB Pro(リガク社製)]
エレクトロスプレー(ESI)法によってイオン化した試料が検出器まで飛行する時間によって化合物の分子量を測定する装置です。有機化合物試料や錯体試料の分子量測定に利用しています。
[写真はESI-TOFJMS-100LP AccuTOF(日本電子株式会社製)]